亀のあくびを見た事はあるでしょうか。
口を大きく開けて息を吐いているような行動は我々のあくびとたいして差がないように見えますが、亀のあくびにはどのような役割があるのでしょうか。
今回は亀のあくびの意味や理由、亀のあくびは他の亀にうつるのかについてもご紹介します。
亀があくびをする意味や理由
実は亀のあくびのような行動はあくびではなく「呼吸」です。
これは人間のように眠いときに酸素を脳に送るための行動とは違います。
亀には大きく分けて3種類の呼吸があり「肺呼吸」、「皮膚呼吸」、「粘膜呼吸」があります。
このあくびのような行動は粘膜呼吸というものに該当し、口を大きく開けることにより、のどの粘膜で酸素を吸収しています。
これは水中でも可能であり、亀は水中でもあくびをして水中の微量な酸素を喉の粘膜でキャッチしています。
普段はメインとなる呼吸は肺呼吸ですが冬眠などで基礎代謝が低下しているときは粘膜呼吸、皮膚呼吸になります。
驚くべきことに亀は尻尾からでも呼吸ができ、尻尾からの呼吸も粘膜呼吸に該当します。
亀が水中で冬眠が出来るのは、皮膚呼吸に加えてあくびや尻尾などから酸素を取り入れる事が出来るからなのですね。
ちなみに世界最大の亀「オサガメ」は一度の呼吸で5ヶ月もの期間を潜水する事が可能なようです。
これはグリコーゲンからエネルギー源を生成して酸素の排出を限りなく抑えているという定説がありますが、もしかすると海の中でオサガメがよくあくびをしているのかもしれませんね。
亀はあくびが移らない?
あくびをしたらうつるというのはよく知られている事です。
これは社会性の強い生物に見られるもので、集団での同調や共感能力によるものだと言われています。
ある研究で亀があくびをすると他の亀にうつるのかという実験がありました。
結果は“うつらなかった”ようです。
実験は簡単なもので一方の亀のあくびを他の亀に見せるものでしたが、あくびを見せられた亀はなんの反応も示さなかったようです。
この事から亀にはあくびがうつるほどの共感能力はないと結論づけられました。
体調不良のサインの場合もある
亀が頻繁にあくびをしたり口を開けっ放しにしている、は、何かの病気のサインの可能性があります。
気になる場合はすぐに病院で診てもらうようにしましょう。
呼吸器系の疾患
亀があくびをする回数をよく見るようになり何か「ゼェーゼェ〜」といった擦れるような音がすると、呼吸器系に何かトラブルがあるかもしれません。
この状態が続くと最悪肺炎などにかかる可能性があるので、早めに獣医さんに見てもらいましょう。
口内炎
亀も口内炎になります。
食べ物により口内が傷ついたり、ビタミン不足や体内の機能低下など要因は様々ですが、亀は口内炎にかかると餌をあまり食べなくなり栄養不足に陥ります。
たかが口内炎ですが、亀にとっては重大です。
口内炎にかかった亀は前足で口先を書くような動作をしたり、口を開けたときに唾液が尾を引いたりします。
対処法はうがい薬などが一応の効力があるようですが、こちらも獣医さんに見てもらうのが良いでしょう。
まとめ
亀のあくびは人間のように酸素を脳に送る動作では無く呼吸の一つのようです。
人間や他の社会性の高い哺乳類の動物のように「あくびがうつる」というのは亀にはないようです。
亀が頻繁にあくびをしたり口を開けたりするなどの行動が目立つと、何かの病気の疑いがあるので獣医さんに見てもらいましょう。